自転車で四国一周 〜3日目〜

~6月2日(金) 3日目~

 

あまり深くは眠れなかった。フルグラを食べていざ出発。外に出ると、小学校のグラウンドの土に、自転車のタイヤが沈んだ。まず目指すは徳島県庁。始めは、海岸沿いに行ったので、30kmぐらいの速度で走った。とても気持ちがいい。だが安全運転には気を付けなくてはならないので、大声で、「絶対に死ぬなよ~絶対に死ぬなよ~絶対に絶対に」などと歌いながら向かった。やがて海岸線を抜け、山の方の道になると、一気に速度が落ち、だるくなる。海岸線の方が好きなのかもしれない。そして、下り阪に差し掛かろうとしたその時、なんと後輪がパンクしてしまった。僕は急いでパンク修理セットと自転車トラブル解決本を出す。タイヤの中からチューブを出そうとタイヤレバーで奮闘していたその時、なんと2本あるうちの1本のタイヤレバーが折れてしまった。その時僕は本当にパニックになり、ヤバいどうしようと本気で思った。そのタイヤレバーは、イギリスで購入したもので、初めて使うものだった。僕の本気の思いが伝わったのか、なんとかタイヤが外れ、チューブを出し、パンク修理に成功した。45分~1時間位かかったと思う。とても疲れた。

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徳島県



徳島県庁には、国道11号線沿いに行ったので、2時間半位で着いた。60代ぐらいのご夫婦がいたので、写真を撮ってもらった。徳島の名物と言ったら、僕の中ではすだちだったのだが、聞くからには、すだちは、さほど有名ではないらしい。祖谷そばが有名みたいだ。徳島駅に行くと、気前のいいおっちゃんが、草刈りをしていた。この自転車、いい値段するでしょ、と散々言われた。そこから一気に西の三好市まで向かい、大歩危小歩危を目指す。ひたすらに西へ進んだ。走っていると、いろいろなことを考える。家族のことを考えると、涙が止まらなくなってしまった。気がついたら、僕は17歳になっており、もう大人に近づいている。小学6年生で九州にきてからあっという間だ。あちこちで、大学生ですか、17歳には見えない、大人に見えますね、と言われる。ああ自分は大人に見えるのかと、気分がよくなる。それはしかし、子どもの村(通っていた学校)で、子どもの村の子どもは大人に見えると言われてきたから、無意識のうちに大人にならなきゃいけないと思って、そう演じてきたのかもしれない。(そうじゃないかもしれない)。自転車に乗っていろいろと感じてみると、子どもの時というのは、人生の内でとても短いのだと思った。そう思ったら、まだ子どもでいたいと強く思った。無理をして大人を演じる必要はないのだ。大人になる時は誰にでも自然にやってくる。子どもの時はすぐに終わる。そう思ったら、今この時を大事に無理をしないで自分らしく生きるべきなんだと思った。なんだか学生になりたくなった。そんなことを考えたりしながら、ボーッとしながら運転していたら、道路と歩道の間にある、ボコッとした部分(歩車道境界ブロック)に自転車のタイヤを擦ってしまった。歩車道境界ブロックに当たる!と直前に気が付いたのだが、両手でバーエンドバーを持っていたため時すでに遅しであった。その瞬間、道路側の、歩車道境界ブロックにタイヤを擦らしてしまい、道路に倒れそうになった。心臓が止まるかと思うほどの恐怖体験だった。もし道路側に車が走っていたら、大事故になっていたかもしれない、と考えると、とてもとても恐ろしかった。絶対に絶対に安全運転で行かねばと思いつつ、道路に全く車が走っていなかったことに、どれだけ運がいいんだ、どれだけ守られているんだと強く思い、僕のご先祖様や背後霊様、神様に深く感謝した。そして大歩危小歩危まで一気に向かう。休憩なしで自転車を走らせていたため、道の駅貞光ゆうゆう館の近くの川沿いにある東屋で昼食を取った。食べ終わり、出発の準備をしていると、おじさん2人がこの東屋へ休憩に立ち寄り、そのおじさん達と少し話をした。大歩危小歩危まで行くと言ったら、1人のおじさんが、自転車はせこいわ~と何回も「せこいわ~」を連呼していた。僕は「せこいわ~」は「ずるいわ~」という意味だとずっと思っていたのだが、徳島の人はどうも違うみたいだ。「せこいわ~」という言葉にかなりの違和感を覚えながら、東屋を後にした。大歩危小歩危に近づいてくると周囲の空気はだんだんと深くなっていった。まず、小歩危に着いた。山々の間を通っていく川の景色は、圧巻だった。

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小歩危

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鉄道橋





 

上を見上げると、鉄道が通っていた。山から急に現れる鉄橋は、迫力があった。そして、セブンイレブン三好大歩危店に着き、休憩することにした。ちょうど、softbankユーザーは、SUPER FRIDAYの特典でセブンイレブンで、4つの商品から一つ、無料で貰えるのだ。僕は、チョコバニラアイスを頼んだ。それを食べたら、口内炎になってはいけないと思い、野菜のスムージーを買った。外に出ると、外人のチャリダーで、これから出発しようとしている人がいたので、話しかけてみた。彼は、ヨーロッパの人で、1か月日本に滞在していて、姉が東京に住んでおり、高知から、自転車で旅をしているそうだった。これから行くゲストハウスに一緒に行かないかと誘われたが、反対方向だったために、断った。そして、別れて、セブンイレブンを出発。大歩危も通った。上に山があって、下に大きな岩壁、岩があり、自然の成り立ちを肌で感じた。

次の目的地はかずら橋だ。大歩危から14kmと表示されていたので、30分くらいでいけるかなと軽く思っていた。しかし、現実は、そう甘くはなかった。山を2つほど超えないといけなく、しかも、日の入りまであと1時間という、とんでもない状況に追い込まれた。かなりのパニックになった。坂は、かなりに急坂で、歩いて上った。途中、サルの群れにも出くわし、余計に焦った。あまりにもきついし、日の入りまで刻々と時間が経っていくため、軽トラとかに自転車を載せて、僕も乗っけてもらえないだろうか、と考えていた。始めに通った軽トラは、過ぎ去っていったが、2回目に通った軽トラは、止まってくれた。ここから後1km程でトンネルに入るから、そこを越えたら、下り坂だよと教えてくれた。僕は、載せてほしかったなと思ったが、乗せてもらえず。後たったの1kmだと思って、最後の力を振り絞った。トンネルでは、誰もいなかったので、日の入りまでには着くぞーーー!!!!と、大声で叫びながらひたすらにペダルを漕いだ。そして、ようやく長い上り坂を終えると、今度はとんでもない下り坂があった。ブレーキをかけながらは走っても、54kmあまりの速度が出た。もうこれで着く!と思っていたが、また坂があった。目の前にいたおじいさんに聞いたら、そんなにきつくはない。日の入りには着くよと言われたので、頑張って速度をあげて行った。そして、やっとの思いでなんとかギリギリに着くことができた。しかし、入口はもう閉まっている。駐車場にいた車に急いで行って話をすると、下に降りたら良いとのこと。急いで下に降りた。時刻は19;28だった。かずら橋の入り口にはロープが張っていて、お金を払わないと渡れないと書いてあったのだが、ここまで来て渡らないのは、損すると思って、ロープをくぐって渡り、1往復した。(申し訳ありません。次回行くときは、2回分払います。)渡る部分は木でできており、隙間だらけだったので、スリルがあった。橋の真ん中からの景色は、もうすぐ暗くなるけどまだ明るい空と、薄暗い川で、まるで物語の中に入り込んだようだった。渡り終わると、道には、提灯が街灯の役割を果たしており、今すぐにでも幽霊がでてきそうな雰囲気で、ぞぞぞっとした。

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怖い。。



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橋の上から



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怖すぎた。。



 


そして、上からも写真を撮影した。照明が緑で、かっこよく、とても雰囲気があった。もうその時には、すでに辺りは真っ暗だった。ほんの10分の出来事だ。あと数分もおそかったら、橋も真っ暗で渡れていなかっただろう。日の入りギリギリに着くというこの僕の運の良さは、凄すぎる。ご先祖様、背後霊様に感謝しかない。時間的には、まだ20;00前で、走れたのだが、僕の体力、精神的に疲れていたので、途中にあった道の駅、「にしいや」で野宿することにした。かずら橋から3.6kmくらいを走ったり歩いたりしながら、20;30過ぎくらいに着いた。着いたら、まだ走れそうな気もしたが、先の道路は真っ暗だったために、諦めた。

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道の駅「にしいや」



初めての一人での野宿だったので、緊張と不安とドキドキとワクワクの感情が混ざっていた。道の駅の中を散策していると、建物内に等身大の人の人形が2つも置いてあり、怖くなった。あと、男子トイレの横に人の似顔絵が描かれた紙があって、見ると、琵琶湖のバラバラ殺人事件、見つけた人は300万円と書いており、ますます怖くなって、鳥肌が立った。夜中にここの道の駅に僕一人でこんなものを見たので、恐怖に陥った。ただでさえ怖がりの僕なのに。だから、寝る場所はこの紙が見えない場所にした。寝袋を敷くマットの周りをよく見ると、大量のアリがいた。僕はこのままだったら、僕の寝袋にも侵入してくるかもと思い、ごめんなさいと思いながら、そこにいたアリをほとんど殺した。この場所以外の寝る場所を探したのだが、良い場所が無かったのだ。少し位置を変えれば、あの紙が見えてしまう。苦渋の決断だった。アリさん、本当にごめんなさい。心よりご冥福をお祈り致します。かずら橋の写真をinstagramにあげたり、電話したりしていり、なんやかんやしていたら、0;00時をまわっていたので寝ることにした。しかし、とてつもないくらい寒い。Yahoo!天気を見ると、気温は11℃だった。上の服は、オレンジの半袖と青い長袖だけだった。寝袋にくるまって就寝。